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報道記事

チェルノブイリの子ども 内部被ばくの危険今も[東京新聞]

 チェルノブイリ原発事故の影響による小児がん患者の治療に当たってきたロシア人医師が22日、日本記者クラブ(東京都千代田区)で講演し、原発周辺の子どもたちが今も深刻な内部被ばくの危険にさらされている実態を報告した。主たる原因は放射性セシウム137で、長期間にわたる食品汚染などの恐ろしさを語った。(佐藤圭)

 講演したのはロシア国立小児血液・腫瘍・免疫研究センター長のアレクサンドル・ルミャンツェフ教授。福島原発事故で健康被害が懸念されている子どもたちの役に立ちたいと、交流のある千葉県がんセンター(千葉市)の招きで来日した。

 同教授らが原発周辺のベラルーシで2003年に亡くなった子どもと成人を検体したところ、脳や肝臓、腎臓、甲状腺など調べた八臓器全てからセシウム137を検出。いずれも子どもに方が濃度が高かったという。

 同教授は「原発周辺地域の食品の汚染は現在も続いている。子どもの方が代謝が早く、大人よりセシウムを取り込みやすい」と指摘した。

 高線量地域のロシアのブリャンスク州での1997年の調査では、胎盤と母乳からセシウムが検出された。母親の体内に蓄積したセシウムが子どもへと引き継がれる「胎児被ばく」だ。

 内部被ばくした子どもたちには、どんな症状が現れるのか。同教授は細胞を酸化して傷つけるフリーラジカル(遊離基)」の影響を説明した。フリーラジカルは遺伝子の損傷や免疫不全、心臓疾患の一因となるが、実際、内部被ばくした子どもが遺伝病になったケースもあったという。

 「遺伝子の不安定性や免疫不全を引き起こす可能性が示唆されているが、低線量の内部被ばくの影響は学問的にはきちんと証明されていない。病気との関係が解明されるべきだ」(同教授)

 さらに放射性ヨウ素などによる小児甲状腺がんについては「統計学的に唯一確認されたのは甲状腺がんの発生のみだ」としたうえで、「被ばく時の年齢が低いほど発生率は高くなる」「被ばく6年後から13年後にピークを迎える」といった特徴について言及した。同教授はこれまで約1000件の発症例を把握している。

 チェルノブイリの経験を福島にどう生かすか。懸念される小児甲状腺がんについて、同教授は「甲状腺がんは治りやすいタイプが多い。健康診断によって早期に発見すれば、十分治療可能だ」とアドバイス。

 セシウムで内部被ばくした子どもへの対策としては(1)汚染されていない食物、バランスの取れたビタミンの提供(2)最低1ヶ月半の抗酸化療法-を挙げた。

 ただし、同教授の研究でもヨウ素やセシウム以外の放射性物質のデータは乏しいという。

 「チェルノブイリの経験では、全放射性物質に占めるセシウムとヨウ素の割合は10%に満たない。90%の中にはストロンチウムなどの半減期の長いものもある。私たちも長い間、研究してきたが、まだまだこれからだ。福島では、チェルノブイリで見られたような影響が出てくるかもしれない。国際的な調査が望まれている」

(c)東京新聞 平成23年11月23日 朝刊

参考資料

低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ
Cs137土壌汚染レベル59-442 kBq/m2ジトーミル州ナロージチ地区に住む7−17歳䛾小児543人(男子289人、女子254人)について2009年から2010年にかけて健康診断を行ったところ、セシウムによる内部被ばく1000Bq以下の小児が8.8%1001から5000Bqの小児が57.8%5001から10000Bqの小児が27.1%10000Bq上の小児が6.3%それぞれいた。


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