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報道記事

海の放射性物質 拡散・沈殿 海底土蓄積を警戒[東京新聞]

海の放射性物質

 東京電力福島第一原発から漏れた放射性物質は太平洋にも広がり、魚から暫定規制値を超える放射性物質が計測され、出荷制限がかかる事態にもなった。
政府や東京電力は現在も、定期的に海底の土や海水の放射線量を測り警戒しているが、原発30キロ圏内の海底では今月に入っても比較的高い値が記録されているという。

セシウム濃度海水中は低下 拡散・沈殿 海底土蓄積を警戒

 文部科学省など政府のモニタリング調査によれば、放射性セシウム137の海面近くの濃度は、原発30キロ圏内で高くとも1リットル当たり0.065ベクレルだった。単純比較はできないが、近くの海底の土では1キログラム当たり370ベクレルと高い値を検出した。原発から30キロ圏外の沖合の海底では、3カ月前の前回調査の2倍となる1キログラム当たり200ベクレルを測定した地点もあった。

 放射線医学総合研究所によると、セシウムは水に溶けやすいが、海水よりやや重いため、すぐには沈まない。濃度が薄まりながら海中に広がり、ゆっくりと沈んでいく。一方で、土には吸着しやすい性質がある。セシウム137の半減期は30年で、ひとたび吸着すると長期間にわたり放射線を出し続けるという。

 こうしたことから、原発事故直後は、海面近くを泳ぐコウナゴなどから暫定規制値を超える放射性物質が検出された。その後、ヒラメなど海底に生息する魚からも見つかるようになった。政府が今月21日に公表したデータでも、規制値を超えたのは、シロメバル、ウスメバル、アイナメなど、いずれも福島県沖の海底で採取したものだった。

 放射性物質の環境への影響を研究する環境科学技術研究所の大桃洋一郎相談役は「原発からの新たなセシウムの放出が抑制されていることもあり、海水中の濃度は下がっている。しかし、セシウムは海底の土に蓄積されるので、今後も政府のモニタリング調査を注視したい」と話した。

魚への影響は?摂取・排出繰り返す 「食物連鎖濃縮」限定的な見方も

 海水に混じった放射性セシウムは、時間の経過とともに海底に沈むというが、魚などへの影響はどうなっているのだろうか。

Q. 魚はどのようにして放射性セシウムを取り込むの。

A. 海水にセシウムが混じっていれば、口から取り込む。餌のプランクトンが汚染されていれば、餌からも取り込んでしまう。さらに、その魚を大きな魚が食べて汚染されてしまうこともある。

Q. 放射能の汚染は進むのか。

A. 水産庁や水産総合研究センターによると、魚やプランクトンなどがセシウムを体内に入れると、海水中の濃度の5~100倍に濃縮される。汚染された植物プランクトンを動物プランクトンが取り込み、それを小魚が食べ、さらに大きな魚が取りこむ食物連鎖により、濃縮がある程度は進むことはある

Q. ある程度とは。

A. セシウムは尿やえらから体外に排出され、50日後には半分になる。水産庁は「食物連鎖によって蓄積し続けるわけではない」としている。

 海洋生物環境研究所の御園生淳さんは「セシウムを付着させた海底土を食べさせたイシガレイをきれいな海水に移したら、投与したセシウムの約90%が排出された」と説明している。

(c)東京新聞 平成23年12月31日



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