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河川の放射性物質把握へ 千葉16地点 濃度に濃淡 環境省埼玉でも本格測定[東京新聞]

 東京電力福島第一原発事故による河川への影響を調べようと、環境省は17日、東京都と埼玉県内の荒川と隅田川で、放射性物質の濃度を測定する調査を実施した。首都圏の広範囲に拡散した放射性物質がどこにたまり、どのように東京湾などに移動しているのかを調べる目的で、同省による都心での河川の測定は初めて

 調査は、隅田川の両国橋(中央、隅田区間)、荒川の葛西橋(江東、江戸川区間)、御成橋(鴻巣市)、笹目橋(戸田市)の4ヵ所で行った。河川の水や川底の泥を採集し、放射性物質濃度(1キログラム当たり)を測定。詳しい結果は3月ごろに判明する。

 同省は、首都圏では昨年8月の茨城を皮切りに千葉、栃木、群馬の4県で行い、結果を公表。

 東京湾に流れる千葉県内の13の河川や運河など16地点で行った測定では、川底の泥に含まれる放射性セシウムの濃度が1000ベクレル以上の数値を測定した地点が8つあり、海老川の八千代橋付近(船橋市)で6400ベクレルを測定した。

 一方で、100ベクレル以上だった地点も3ヵ所あり、結果に濃淡があった。いずれも、国がそのまま埋め立てできるという基準にしている8000ベクレルを下回っていた

 同省の担当者は「今は、河川の中で放射性物質がどうなっているのかデータを蓄積しいてる。今後、データの推移を見ながら、移行メカニズムも把握したい」と話した。

 同様の調査は大学などの研究機関でも行われており、全国の河川や海約300地点の放射性物質濃度を測定している東京大学の鯉渕幸生准教授によると、放射性セシウムが粘度質のものに吸着しやすく、河川の中では浮遊しながら動いているが、途中で沈んでたまりやすい場所があるという。

「たまる場所あるのか」河川本格測定 隅田川同行 住民ら不安や疑問

 東京湾へ流れ込む河川で17日、環境省が行った放射性物質の濃度測定。作業を見つめる付近の住民らは、目に見えぬ物質への不安を口にした。隅田川で行われた調査に同行した。(上條憲也)

 東京都墨田区の両国橋。東京湾から上流へ約5キロの地点だ。両国国技館から西へ約300メートルで、時折力士たちが行き交う。ひっきりなしに車が往来する橋の真下を、観光船がくぐり抜けた。

 環境省から業務委託を受けた環境調査会社「いであ」(世田谷区)の古殿太郎研究員(39)らは正午過ぎ、橋に到着。欄干から隅田川にロープを垂らした。

 ロープの先には、シャベルを二つ組み合わせたような川底の泥を採る専用器具が付いている。重さ約5キロ。口を開いた状態で川底に沈み込み、閉じながら泥を引き揚げる。場所を変えて3回行い、泥はステンレス容器に移された。川底の泥とともに、河川の水と護岸の土も採取。同社の分析部署に届けられた。

 橋を行き交う住民たちは作業を食い入るように見つめ、近くには自転車を止めて作業をのぞき込む人たちも。たくさんの視線に「普段は地味な仕事なので、緊張します」と古殿さんは苦笑いした。

 近くに勤務先がある男性会社員(36)は「放射性物質を測っているんでしょ」小さな子どもがいるから気になる。どれくらいの数値なら影響があるのだろうか」。

 この場所を含め、この日測定が行われた4地点は、自治体が設けた「環境基準地点」や「補助地点」。環境省によると、公害がひどかった40年ほど前から、水銀やカドミウムなどの公害物質のデータ測定をしている所だ。

 また、都内の荒川の測定地点の近くで釣りをしていた60代の男性は「水鳥への影響はないのか」と心配そうに作業を見つめた。周囲の人も「放射性物質がたまりやすい場所があると聞いたが本当か」「川底をかき回してはいけないのではないか」と、それぞれの不安や疑問を口にした。

底の泥 取り除くほど効果 鯉渕・東大准教授

 放射性物質の測定を行っている東京大学の鯉渕幸生准教授(沿岸環境学)に、河川などでの放射性セシウムの動きについて聞いた。

 河口付近で淡水と海水が混ざり合う場所では、放射性セシウムが吸着した土の粒子が別の粒子と結合し、川底に沈みこむ

 江戸川では河口から約8キロ付近にこのような場所があった。関東平野はなだらかな地形で海水が上流に入り込みやすいため、河口の上流約30キロでも同様のケースがあるかもしれない。

 一方、河口付近の水底では河川側へ流れ込む海水の水量が多く、放射性セシウムが吸着した堆積物はなかなか海側へ移動できない

 大雨が降って川床ごと削られない限り、そこにとどまることになり、湾内への拡散を防ぐためには、台風などが来る前に対策を講じた方が良い。

 対策としては、大きめの穴を少し上流の川底に掘っておけば、自然に放射性セシウムが吸着した堆積物が落ちていくのではないか。また、海底のたまった泥などを取り除くしゅんせつをより多く行うことも有効ではないか。

(c)東京新聞 平成24年2月18日

 



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