マンション室内 高線量 福島二本松 浪江で採石昨年7月築 汚染コンクリ原因か
福島県二本松市は15日、昨年7月に完成した同市内のマンション1階の室内で、毎時0.9~1.24マイクロシーベルトと屋外より高い放射線量が検出されたと発表した。コンクリートの基礎部分は、計画的避難区域となった同県浪江町の砕石場の石が使われており、市や国などは原発事故で汚染された石が原因とみて調べている。
市による子どもの被ばく線量調査で、このマンションの1階に住む中学2年の女子生徒の線量が昨年9~11月の3カ月で1.62ミリシーベルトと高かったことから判明した。
市などによると、マンションは3階建てで12世帯が入居。線量が高かったのは1階の4部屋で、うち2部屋は、県の借り上げ住宅として南相馬市と浪江町からの避難住民が生活している。県が転居先を手配する方針。
マンションの周辺の放射線量は地上1メートルの高さで毎時0.7~1.0マイクロシーベルト。2、3階の室内では毎時0.1~0.3マイクロシーベルトだった。
経済産業省によると、警戒区域や計画的避難区域の砕石場の石については放射性物質の基準を設けておらず、出荷制限もしていなかった。担当者は「石から高線量が測定されたのは想定外だった」としており、流通ルートを調べている。
石は「双葉砕石工業」(福島県富岡町)が浪江町の砕石場で採取し、昨年3月11日~4月22日に約5200トンを県内の建設会社など20社に出荷。二本松市内の生コン会社がこの砕石を使って製造したコンクリート57.5立方メートルが、マンションの基礎部分に使われた。
(c)東京新聞 平成24年1月16日 朝刊
汚染コンクリ 用水路で高線量 学校近くにも同じ材料
福島県二本松市のマンション室内で屋外より高い放射線量が測定された問題で、マンションと同じ材料を使っていた市内の農業用水路でも毎時1.62~1.97マイクロシーベルトと比較的高い放射線量だったことが16日、市への取材で分かった。
水路には、マンションの基礎部分と同じコンクリートが使われていた。
材料は、同県浪江町の計画的避難区域内にある砕石場から出荷された石で、市と経済産業省は、この石を使った建築物がほかにないかなど流通ルートの特定を進める。
市によると、線量が高かったのは、同市大稲場地区で昨年4月につくられた農業用水路。周辺の線量は毎時0.7~1.0マイクロシーベルトだった。現場の周囲に民家はまばらで、田畑が広がっている。
また、市立旭小学校に隣接する道路で、浪江町の砕石場から出荷された石が使われていたことが判明。昨年3月の東日本大震災でひびが入った道路を補修した際、アスファルトの下に厚さ2~3センチ敷き詰めた。
道路表面の線量は最大で毎時0.50マイクロシーベルト。同小は保護者への説明会を開き、経緯を話すという。
石は浪江町の砕石場から県内の建設会社など19社に出荷された。このうち、二本松市の生コン会社が石を原料として製造したコンクリートがマンションや農業用水路に使われていた。
マンションの室内で高線量が測定されたことを受け、二本松市などが同じ石やコンクリートを使った建造物の調査をしていた。
(c)東京新聞 平成24年1月17日 朝刊
汚染砕石 政府 流通ルート調査へ 高線量地域16社が対象 出荷制限や処分も
福島県二本松市のマンション室内で屋外より高い放射線量が測定された問題で、政府は17日、コンクリートなどに使われた砕石の流通ルートの本格調査に入った。
直接の原因となった同県浪江町の砕石場に加え、ほかの高線量地域にある砕石・採石会社16社が扱った石にも対象を拡大。経済産業省は国土交通省と連携、福島県とも情報交換し汚染の範囲を早急に特定したい考えだ。
砕石を中心に放射線量を測定、政府は結果に応じて地域・業者を絞った出荷停止の要請を検討。石や砂利に関して放射線量の基準を設定し、出荷制限や処分の手続きを定めることも視野に入れる。
高線量マンションの基礎部分のコンクリートには「双葉砕石工業」の砕石場から出荷された石が使われた。同社からは生コン2社経由で2百数十社の建設会社などに納入されたとみられる。これとは別に土木、建築材料として建設会社17社にも納入されており、政府は施工場所の確認を急ぐ。
出荷先としての調査を広げるのは浪江町と同様に計画的避難区域が設定された福島県内の飯館村、川俣町内の系6社や、伊達市、南相馬市内で線量が高い「ホットスポット」として指定された特定非難勧奨地点周辺にある10社。
このうち非難勧奨地点の4社は生コンの材料となる砕石業者で、現在も操業中という。ほかの業者は墓石、庭石などの石材を中心に扱っているとみられる。
一方福島県は、高線量が測定されたマンション住民の転居先の手配に取り組む。全12世帯の中には警戒区域からの避難者もいる。住民の意向を確認しながら、新居の確保を急いでいる。
(c)東京新聞 平成24年1月18日 朝刊
ジワジワ広がる放射線物質 砕石は氷山の一角か
福島県浪江町の砕石場から広がっている汚染コンクリート禍。空気や海水、がれきのみならず、放射性物質による汚染はじわじわと列島を覆いつつある。砕石は氷山の一角だ。規制がなかったり、手遅れになった事例は今後も出てくることだろう。一度起こしたら取り返しが付かない。それが原発事故の怖さだ。にもかかわらず、政府は原発の再稼働に向け、アクセルを踏み続けている。 (上田千秋、小坂井文彦)
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(c)東京新聞 平成24年1月19日 朝刊

