水田でイネに放射性セシウムが移行する仕組みを18日、東京大農学生命科学研究科の根本圭介教授、塩沢昌教授らが明らかにした。雑草など水田の有機物が事故直後にセシウムを蓄積し、それが水を介してイネに移行したという。
福島県では昨秋、原発からかなり離れた地域のコメから散発的に暫定規制値の1キログラムあたり500ベクレルを上回るセシウムが見つかったが、理由は不明だった。
根本教授は、土壌ではなく、水から直接セシウムを吸収すると、高い濃度のセシウムを含むイネが育つことを実験室の水耕栽培で示した。1リットル中10ベクレルのセシウムを含む水で育ったイネから、1キログラムあたり5700ベクレルのセシウムが検出された。
水にセシウムが増えた原因は、有機物によるとみられる。塩沢教授は現地調査で、草や稲わらが多く、水がたまりやすい水田のイネから高濃度のセシウムが出ている点に注目。「春先の事故直後、大量に降ったセシウムを有機物が保持し、それが夏に分解したとき、水田の水にセシウムが放出され、イネに吸収された」と説明した。
津波に襲われた水田でも、海藻など有機物が表面に残り、イネへのセシウム移行率が高かった。
塩沢教授は「セシウムを保持した有機物は多くがすでに分解したとみられ、今年はセシウムが大きく減ると考えている。地中へのすき込みや乾燥によって、水田表面の有機物を減らすことが鍵だ」と話している。
(c)東京新聞 平成24年2月19日

