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報道記事

食品新規制値案「農業に影響大」関係学会に投稿要請 放射線審前会長 意見公募で

 食品に含まれる放射性セシウムの新規制値案について厚生労働省が実施していた意見公募に、案の妥当性について厚労省から意見を求められていた文部科学省放射線審議会の前会長、中村尚司東北大名誉教授が「福島県の農漁業に甚大な影響を与える」として、公募期間中に反対意見の「投稿要請」とも受け取れる依頼を関係学会の会員らにメールを送っていたことが16日、分かった。

 メールは丹羽太貫現会長の名前も出していた。中村前会長は「反対意見の投稿を要請したつもりはない」と話しているが、審議会前会長の立場で影響力を行使したとの批判も起こりそうだ。

 中村前会長によると、1月20日前後に日本原子力学会の関係者を通じて学界下部組織の会員らに向け、依頼文をメールで送った。実際、何人に送られたかは不明。

 メールでは新規制値案をめぐる同審議会の議論について「安全性の評価、社会的影響に関する検討がなされておらず紛糾」とし「本案が施行されると福島県産の農産物、海産物が売れなくなる」「(福島)県民の感情を無視したもの」と指摘。意見提出の要領などを記載した、総務省が運営するインターネットサイトの宛先を添付した上で「ぜひ対応して頂くようお願いいたします」としていた

 中村前会長は「それぞれで考えて意見を出してほしいという趣旨だった」と説明。「すでに会長を辞めており審議会にもタッチしていない」と話した。

 厚労省によると、意見公募は1月6日から今月4日まで実施。約1700件の意見が寄せられ、厳しくすべきたとの意見は約40件だった。

 中村氏は2007年3月から昨年2月まで放射線審議会会長を務めた。

新規制値案 意見付きで了承

 食品に含まれる放射性セシウムに関する厚生労働省の新規制値案について、文部科学省の放射線審議会は16日、会合を開き「差し支えない」と了承する答申をまとめた。厚労省は4月から新規制値案を適用する予定

 一方、新規制値案で乳幼児用食品と牛乳は1キログラム当たり50ベクレルと、一般食品の同100ベクレルより厳しくなっていることについて「特別の規制値を設けなくても子どもへの配慮は十分になされている」と異例の見解を述べた。丹羽太貫同審議会会長は「100ベクレルでも十分に安全なレベルで、健康被害を心配する必要はない」と話した。

 答申は、規制値をわずかに上回る食品を食べても健康への影響はほとんど変わらないとも指摘。福島県産の農産物などの流通に影響する可能性もあり、地元の生産者らの意見を最大限尊重して運用するべきだとの意見も付けた。会合では委員から「福島県の農業、水産業にあまり大きな打撃を与えないか心配だ」との声も上がった。

 厚労省は昨年12月、現行の暫定規制値を大幅に引き下げる案をまとめ、放射線審議会に妥当かどうか諮問していた。

メールのポイント

▽放射線審議会は「安全性の評価と社会的、経済的影響に対する検討がなされていない」と紛糾。

▽新規制値案が施行されると、福島県の農業と漁業へ甚大な影響を与え、農作物や海産物が売れなくなる可能性が高まる。

▽これは、原発事故から立ち直ろうと除染を進めている福島県の県民感情を無視したものと考える。

▽パブリックコメント募集内容を確認した上、対応をお願いする。

▽(現会長の)丹羽(太貫)先生とも連絡を取って(個人として厚労省に投稿した)コメントを参考までに送る。

(c)東京新聞 平成24年2月17日



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